夏休みの登校日、小学校で同じクラスで仲良しだった、リク、タケル、ヨシキ、ミクの四人は肝試しとして、山の麓にある廃寺に行くことになりました。

その廃寺は地元では有名な心霊スポットではなく、むしろ心霊スポットは、地元には廃病院がありましたので、そちらが有名だったのです。

ただ、廃病院に行くと柄の悪い連中に出くわして別の事件に巻き込まれることになりますので、小学生でも行けて、またメジャーではない心霊スポットとして廃寺はうってつけだったのです。

リク『何時にどこに集合する?』
タケル『近くのコンビニに20時ごろでどう?』
ヨシキ『親にはカブトムシを捕りにいくことにしようぜ。』

流石に親に心霊スポットに危ない場所に行くなんて言えません。そこでカブトムシを捕まえに行くということに口裏合わせをしました。カブトムシを捕るの公園は人通りの多いので、地理も知っている親に何とか許可をとることができると思ったのです。

リク『そうだな。』
ミク『みんな、親を説得できるの?』と疑心暗鬼でしたが、
リク、タケル、ヨシキは口々に『ミクは怖くて来ないんじゃないの!』と言うので
ミクも『親に言うのなんか簡単だし!』と言い合いになりましたが、そこはいつも仲良しグループですから、すぐに違う話題になったのでした。

リク『もうひとつ、一人で行くってことにしようぜ。』
ミク『え?何で?』
リク『この間、四人で学校のガラス割っただろ。マークされてんの。俺たち。』
タケル『そうだな。一人で出かけることにするか。』

その場は解散して、リクは家に帰り、親に『一人で?』という反対を『人通りが多い』『明るい場所だから』と何とか理由をつけて何とか集合場所に集まることができました。

コンビニに行くとすでにタケル、ヨシキ、ミクは着いていました。

ヨシキ『遅いぞ!リク!』という言葉にリクは『わりぃ。わりぃ。』と三人に近づきましたが、三人はどことなく沈んでいる感じのするのでした。

リク『何だ!怖いの?やっぱりやめて本当にカブトムシ捕りに行く?』
タケル『はぁ。何言ってんの。平気だし!行こうぜ!』

四人は山の麓の廃寺に行きました。歩いて15分程です。

最初は賑やかだった四人でしたが、山の麓の廃寺に近づくにつれて徐々に口数が少なくなりました。

そして、ようやく廃寺に着いた時は、四人ともダンマリ状態となっていました。

山の麓の廃寺は真っ暗ですので、四人の懐中電灯の光だけが頼りです。

ここにきてミクが『やっぱりやめよう。』と言いましたが、四人は『ここまで来て止めれるか!』と即座に却下したのでした。

廃寺といいますと荒れ果てて草がボーボーに生えており、建物は老朽化が進み朽ちてきて今にでも崩れ落ちそうになるようなイメージですが、寺に入ってみると寺の中は草も刈られてような状態で、建物も朽ちたような感じでなく、今でも住職が住んでいるような新しさでした。

ヨシキ『意外に綺麗だな。』
ミク『草もあまり生えていないからよかったよ。』
タケル『奥に入ってみようぜ。』

寺の奥に入ると、月明かりに照らされて、庭には大きな池があるのがわかりました。

暗い池

そして、池が何やら光っているのが遠くからでもわかります。

四人は近づいてみると、池の中には青白く光るメダカが沢山泳いでいました。その光景はとても幻想的な感じがしました。

ミク『うわぁ。綺麗。』
タケル『すげぇな。』

よく見てみると、メダカが人に慣れているのか?こちらをじっと見ていることがわかりました。

リク『メダカがこっちを見てる感じがする。』

リクは、メダカが綺麗というより、得体の知れない何とも嫌な感じがしました。

するとメダカを見ていたヨシキが『こんなレアなメダカなかなかいないからを捕まえてみようぜ。』と言いました。

リクは『やめておけって。それに捕まえるものは何にも持ってきてないし。』

タケルが『そこにバケツがあるからすくおうぜ。』とバケツを持ってきました。

一番メダカに見とれていたミクが『すくってみる。』とタケルからバケツを奪い取りました。

そしてミクはメダカをすくおうとしましたが、メダカはすり抜けるように逃げてしまいます。

ミク『もう少し水中に入れて』とバケツをもつ腕ごと水中にいれたとたんに、何かに引き込まれるように池に落ちました。

それを見ていたタケルとヨシキがミクを助けようと片手を伸ばすとミクは二人の片手を両手でつかんだのですが、ミクの腕の力はとても力強く二人とも一気に池に落とされました。

池はとても深いのか?三人とも這いあげることができません。

ヨシキ『何かが足をつかんでいる!』
タケル『助けて!』
ミク『いやー。助けて!』と叫んで這い上がろうとしています。

ヨシキが『リク。助けてくれ!』とリクに助けを求めます。

リクはそれまで呆然と眺めていましたが、ヨシキの叫びに我にかえって、池に近づき懐中電灯で照らしました。

その瞬間、リクは身動きできませんでした。

ヨシキ、タケル、ミクの体には無数の手がからみついていたのです。

メダカだと思っていたのは人間でした。いや、池の中にいるので人間ではありません。

この世のものとは思えない者たちでした。

それはリクのライトに照らされて一斉にリクの方を向きました。

そして池から這い出てこようとしたのを見てリクは一目散に逃げ出しました。

後ろから三人の『リク!助けてくれー。』という声が聞えましたが、振り返る余裕もなく、必死に走って寺から出ようとしました。

寺から出ようとした時に『次、ここに来たらコロス!』という声が聞えたように感じました。

リクはとにかく全速力で家に帰りました。

家に帰って『三人を助けなきゃ。』と思いましたが、怖くてとても寺に戻ることはできずに、そのまま布団にくるまっていましたが、リクはいつの間にか寝てしまい朝になりました。

翌朝、起きてきたリクに母親が『ねぇ。ヨシキくん、タケルくん、ミクちゃんが昨夜から家に帰って来ないんですって、何か知っている?』と尋ねられましたが、リクは『一人でカブトムシを捕りに行ったから知らない。』と答えました。

その後はとても長く感じられる時間が過ぎました。ヨシキ、タケル、ミクの親は四人が仲良しなのを知ってか、親たちや先生が代わる代わる電話や家にきて『どこに行ったか?きいてない?』と尋ねられましたが、リクは繰り返し『登校日は一人で先に帰ったので知らない。』と答えました。

警察による捜索によって三人が見つかったのは三日後でした。三人とも寺の池で遺体となって発見されたのでした。

後日、警察が訪ねてきました。

警察官『リクくんだね。』
リク『はい。』
警察官『ヨシキくん、タケルくん、ミクちゃんが亡くなったのは知っているね。』
リク『はい。』
警察官『一番仲良しだったと聞いているけど、話をきかせてくれないかな。』
リク『はい。』
警察官『登校日にヨシキくん、タケルくん、ミクちゃんがどこかに行くって話をしていたのか?知らないかな?』
リク『カブトムシを捕りたかったので誘いましたが三人に行かないって言われました。その後は一人で先に帰りました。』

その後もいくつか警察官に質問されて、いくつか答えたものの事件に関係ないとわかると、警察官は最後にこう言いました。

警察官『三人はね。溺れてなくなったんだけどね。この近くに流れている○○川には特に行った様子がないんだ。』

こうとも言いました。

警察官『寺の池には水がはいっていないんだよ。溺れた理由がわからないんだ。』

あの夜、月明かりに照らされた池には水がありました。そして青白いメダカが泳いでいたのを覚えています。

その後、小学校卒業とともにこの町から引っ越しをしましたので、あの寺がどうなったのかはわかりません(終)。



※最後に
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